人事院は8日、2022年度の国家公務員一般職の月給を平均921円、ボーナス(期末・勤勉手当)を0.1カ月分それぞれ引き上げるよう国会と内閣に勧告した。月給とボーナスをともに引き上げるのは3年ぶりとなる。
月給は民間の基本給に当たる「俸給」について初任給や30歳代半ばまでの若年層に限って引き上げる。22年度は初任給を大卒で3000円、高卒で4000円それぞれ増やす。大卒の初任給の上げ幅を3000円以上にするのは1993年度以来29年ぶり。
ボーナスは年間の支給額を4.4カ月分に引き上げる。年間給与は平均5万5000円増える見通しだ。新型コロナウイルス禍の影響を受けていた一部企業で業績が回復しており、民間の給与水準との格差を解消する。
勧告は民間と国家公務員の給与水準を合わせる目的で、毎年8月に実施している。一般職の国家公務員およそ28万人が対象で、地方公務員275万人の給与も勧告に沿って原則変更される見込みだ。
財務省などの試算によると、勧告通りに引き上げるのに国家公務員で770億円ほど、地方公務員で国の補助金を除くと1430億円ほどの予算が必要となる。政府は給与関係閣僚会議を開き、勧告受け入れの是非を決める。
勧告の基準となる民間給与実態調査は1万1800ほどの事業所のおよそ45万人を対象とし、国家公務員の給与と比較した。
働き方改革の一環で、日々の始業や終業時間を柔軟に設定するフレックスタイム制も23年4月から拡充する。1日当たりの最短勤務時間を現行の6時間から2〜4時間に改める。
人材を確保しやすくするため、総合職の春試験の時期を2年かけて1カ月程度前倒しするといった対策も盛り込んだ。採用試験の申込者数の減少傾向に少しでも歯止めをかける狙いがある。